煙草の話

先日、アイルランドで全国的に路上はもちろん公共の建物内での喫煙を禁止するという法案が可決された。これは対岸の火事と言い切れるものではない。我が国においても、もはや居酒屋、バー等を除いた通常の飲食店では喫煙席より禁煙席が多いというのが現状であり、この動きが進めば、我々喫煙者は自宅以外での喫煙が厳しい状況となってくるわけだ。確かに副流煙による一方的な害というものを無視するわけにはいかず非喫煙者の保健にとって正常な動きであることは認めざるを得ないが、全面的な禁止というのは如何なものか。公共の場であってもコンパートメントされ排気設備を備えた喫煙スペースを用意する位の努力はしてもらって当然ではなかろうか。現在、日本の喫煙状況は男女合わせた成人の30.3%である。3割の人間が望む条件としては多大なる譲歩がそこにあるということを併せて理解してほしい。愛煙家の諸兄からは片手落ちだ、より強く権利を主張せよとお叱りを受けるかもしれないが、考えてもらいたい。冬場寒風吹きすさぶ季節においてクジラが海面に顔を出し精一杯に空気を吸い込むがごとく外に出て喫煙所で吸う一服のうまさを。ぬくぬくととした席で惰性でプカプカと吹かす者、火を点けたはいいがトントン灰を落とすだけの者、吸いかけの煙草を忘れ新たに吸い始める者、こういったファッションとしての喫煙家達には分かるまい。そうこの喫煙スペースに隔離されるという状況は図らずとも社会が与えた煙草愛を測る踏絵であるという事実を。そしてこの踏絵を乗り越えた同士達よ、似非喫煙者達に別離を告げ、このアダモを守り抜こうではないか。